ほのぼの子育て日記

子育て日記中心、時々怪談

お盆怪談「カランコロン」

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 連日の投稿になります。
 本日は、前回ご案内した通り、友人Kの怖い体験談2本目をお送りします。こちらもお盆にまつわる、今にぴったりのお話です。どうぞ涼んでいってください。


2本目「カランコロン」


 Kが中学生の頃の話です。その日は8月13日の迎え盆で、お墓参りも終わり、家族親戚で集まってKの家でBBQを行いました。Kも兄や姉、従兄弟たちとひとしきりBBQやゲームを楽しみ、すっかり日も暮れて夜になりました。
 親戚や従兄弟も帰って行き、後片付けなども終わっていよいよ寝る時間。1日たっぷり遊んだKは、すぐに眠りにつきました。


 深夜2時くらいでしょうか。ふいに尿意を催したKは起き上がり1階のトイレへと向かいました。どうやら昼間のBBQで調子に乗って水分を摂取しすぎたようです。
 Kの家のトイレは小便用と大便用に分けれていて、小便用の部屋には男性用の小便器のみが置かれており、用を足している間は、ちょうど顔のあたりにくる小窓から外の様子が伺えます。Kの家は小高い坂の中腹ほどの住宅街にあり、窓からは1本の街灯に照らされた坂道が見えます。
 夏ということもあって、窓は網戸になっており、Kは外の様子をぼんやり眺めながら用を足していました。すると、その時、網戸越しにある音が聞こえてきました。


カラン…コロン…


坂の下の方から音が聞こえてきます。


カラン…コロン…


どうやら下駄の音のようです。音からして、坂を下から上って来ているよう。Kも用を足し終えたので、そのまま部屋に戻れたのですが、何となく、そのまま窓の外を眺めていました。下駄音はゆっくりながらも着実に坂を上ってきています。
「こんな時間に誰だろう…」ぼんやりそんなことを考えながら窓の外を眺めていると、いよいよKの家の近くまで上ってきました。


カラン…コロン…


音もどんどんと大きくなってきて、ついに、Kの家の近くの街灯下まで"それ"はやって来ました。Kは目を見張ります。
 そこにいたのは、ぼさぼさの長髪、白い着物、そして下駄を履き、足が悪いのか片足を引きずり気味で歩く、何とも不気味な人だったからです。そもそもこんな時間に、こんな格好で1人歩いている時点で「人である」という確証も得られません。


 Kはずっと見ていたことを後悔しつつ、目を逸らしてそっとその場を去ろうとしたその時でした。


カランコロンカランコロンカランコロンカロンコロン!!!!!!!!!

 

けたたましい下駄音が住宅街に響き渡りました。ぎょっとして、反射的に音の方を見てしまったK。
 そこには、先ほどまでのゆっくりとした歩調が嘘のように、片足を引きずりつつ猛スピードで坂道を上がっていく"それ"がいました。「走る」といった感じではなく、うまく表現するならば、先ほどまでの歩調をただ早送りしただけのような、そんな歩き方でした。

「こんな動きができるのは人間じゃない!」恐怖を感じたKはダッシュでトイレを出て、自室ではなく親の部屋に行き、朝まで親の布団で一緒に寝たということです。


 翌朝、親に事情を聞かれKが見たままを話すと、当然信じてはもらえませんでしたが、あれは決して夢なんかじゃなかった、とKは語っています。
 迎え盆当日と、下駄を履いた"それ"…何か関係があったのでしょうか。


2本目 完