ほのぼの子育て日記

子育て日記中心、時々怪談

豚汁訓練!

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 先日、うちの地区の防災訓練がありました。何でも、コロナの影響で数年ぶりの開催だとか。
 防災訓練では、伝達訓練、土嚢づくりなど、各自あらかじめ割り当てられた役割をこなすのですが、自分が今年割り当てられたのは“炊き出し訓練”でした。
 俺は今の住所に越してきてから初めての防災訓練だったので、炊き出し訓練と言われても何をやるのかあまりピンと来ませんでしたが、事前に驚愕の連絡メールが届きました。

 

『今年の炊き出し訓練では、豚汁約30食分を作ります』

 

 訓練で豚汁30食!?その量だとせっかくの休日の半分は潰れそうだ・・・。ていうか、豚汁だったらヒンドゥー教徒の人食えないだろ。区内にヒンドゥー教徒はいない想定なのか。
そんな考えが頭を巡りましたが、それよりも最大の問題点があったのです。それは、

“俺がこれまでの人生でほとんど料理をしてこなかった”

ということ。
 高校までは親の料理、大学からは1人暮らしを始めるもレトルト食品とチャーハンの素(永谷園さんありがとう)に頼り切った生活。社会人になってからはそこに外食も加わり、結婚後は妻の料理。
 自分で作れる料理といえば、ゆで卵と玉子焼きの二刀流のみです。こんな二刀流の大谷翔平はメジャーで通用しません。どうして炊き出し訓練はゆで卵じゃないんだ、と憤りを覚えましたが、災害時にニワトリが急ピッチで卵を生むことはどう考えても非現実的です。
仕方なく、豚汁のレシピなどを申し訳程度にネットで調べつつ、炊き出し訓練に備えます。

 迎えた当日。公会堂の調理室に“豚汁30食選抜”が一堂に会しました。合計8人で、女性7人男性俺1人。。。明らかな配置ミスだろこれ。何なんだよ。
 でも、頼もしいことに、女性の皆さんは、俺よりも恐らく年齢は高く、ベテラン主婦感が溢れ出ています。
 とりあえず下手に豚汁できます感を出して後で恥をかくより、初っ端から素人感を出さなければ・・・!俺は反感を買うであろうことを恐れつつも、最初の自己紹介で自分は全く料理ができない旨を正直に話しました。
 すると、一番年齢が高そうで、重鎮感のある女性(ここでは、“チーフ”と呼ぶ)が言いました。


「あら、それなら今日は貴重な経験ができそうね(ニコッ)」

 

・・・・怖いです。特に最後の意味深な笑顔が怖い・・・料理できないなら豚肉の代わりになれ!とナイフで捌かれたりしないでしょうか。

 不安を抱きつつも、自己紹介タイムは終わり、いよいよ調理スタートです!30食ですので、4人ずつ2つのグループに分かれ、15食ずつ作ることにしました。俺と同じグループには、チーフと40後半くらいの女性(サブチーフ①)、40前半くらいの女性(サブチーフ②)が配置されました。

 

チーフ「じゃあ、あたしたちは野菜洗うから、俺君はピーラーで皮剥いてちょうだい」

俺「わかりました!がんばります!」

 

 豚肉代わりにされるわけにはいかないので、元気よく返事をします。
小学校の調理実習以来となるぎこちないピーラー捌きで何とかニンジンと大根の皮を剥くと、お次はネギを切ってくれとの指示。
どういう形に切れば良いのか困惑していると、サブチーフ①が「斜めに切ると良いよ」とアドバイスしてくれました。自分の指も斜めに切らないよう注意を払いつつ無事切り終え、お次はコンニャク、その次は豚肉と、続々と切断ミッションをコンプリートして行きます。
そして、チーフの指示のもと、切った具材を順に鍋に入れ、グツグツと煮込みます。味噌とだしも加え、いよいよ香ばしい匂いがしてきた時、サブチーフ②が俺に向かって言いました。

 

「シェフ!味見してみて!」

 

・・・シェフ!?!?俺は…俺は、今日一日で料理できない男Lv.1からシェフLv.99にまで昇格したのか…!?マフ〇アシティ並の昇格に感嘆しつつ、鍋に近づき豚汁を一口・・・
・・・・・美味い!!

自分で作った(というのは過言かもしれない)豚汁がこんなにも美味いとは!!シェフLv.99は美味しさのあまり豚汁を片手に涙を流し、床にくず折れたのでした。
 そんな俺に向かってチーフが一言。

 

「シェフ、お疲れ様。今度は奥さんやお子さんにも豚汁作ってあげるのよ(ニコッ)」

「は、はい・・・!」チーフの笑顔に他意はありませんでした。

 

 その後は、各訓練から戻ってきた方々と皆で豚汁を味わい、充実した防災訓練となりました。ありがとう奥様方。ありがとう豚汁。
※ちなみに、美味しさに感嘆するあまり豚汁の写真を撮るのを忘れてしまったため、冒頭の写真は使ったエプロンと訓練参加報酬のお菓子です。